謹んで新春の祝詞を申し上げます。
昨年は一旦、当「旬のおたより」を休止いたしましたが、昨年
末より再開いたしました。従前の様に週一回更新とはいきません
が、月一回更新を目標にし継続・存続させる所存です。
なお、正月二日とのことにより、全ネタ冷凍ストック利用とな
っております。何卒ご容赦お願い申し上げます。
【調理・撮影:2023/1/2】
ここ数年、一般の方々が入手しやすい鮮魚介類の種類・量が漸
減している。一般の方々がそれらを入手できる場所は、ほぼスー
パーに限られる。つまり、その鮮魚売り場の品揃えが一昔前と様
変わりし、自ら「知らない→売れない→出さない→知らない」の
悪循環に陥っているのか創り出している状況。何れにしても、多
様性・多態性の真逆に相違ない。魚離れの原因の一つであろう。
【調理・撮影:2023/1/8】
時化の影響と流通の二重(生産者側と大口需要家)のフィルタ
ーにより、店頭に並べられる石川県産鮮魚介類の種・量とも乏し
い。簡単に言えば、獲りたいものと売りたいもののフィルターに
より極限までそれらが絞られる。そこに消費者が求めているもの
という要素は介在できない。我々消費者は、漁業者に近づけない
ないし、流通に聴いてもらえないのである。これが魚離れか。
【調理・撮影:2023/2/12】
少しずつ、日が長くなってきた。朝晩冷え込むものの、日中過
ごしやすく何よりである。季節が完全に春に移行したと言わざる
を得ない。素材(ネタ)も春の兆しに満ち溢れ、特に陸の食材に
その季節感が存分に発揮されているように強く感じる。
お彼岸も間近。日頃の行いから当方の来世は、望まない方向へ
進みそうだから、今のうちに美味しさの歓びを謳歌したい。
【調理・撮影:2023/3/12】
花の名に疎い当方が知る数少ない中の一つ「山吹」。例年GW
頃がその盛りとなるが、今年は、例年より約1ヶ月早くその時季
を迎えたことになる。「山吹」以外も同様なことから「地球温暖
化の影響」を実感として認めざるを得ないのかもしれない。
一方、海水温の短期的な上昇はデータ上見られないが、長期的
には徐々に上昇し、それが漁獲魚種に顕著に現れている。
【調理・撮影:2023/4/9】
「四季の中、春が何月~何月か」と問われれば、諸説あるが3
・4・5月が妥当な線なのであろう。その4月も下旬を迎え、春
も後半を歩んでいるが、もう随分前に花の時季が過ぎ去り、朝晩
の冷え込みに反し、日中気温が上がって冬と初夏が同居する日々
が続いて春の印象は希薄。その寒暖差にも不平不満を口にするこ
となく、草木たちは、成長の季(とき)を迎えた。それが今。
【調理・撮影:2023/4/23】
5月を迎え日中過ごしやすい気候となってきた。それでも朝晩
の冷え込みがこの時期としては厳しい。今年は、3月下旬の高温
により花の時季が大幅に早まった。あの頃の暖かさが今の時期に
相応しいはずだが、思うようにならないのが現状。異常が平常に
感じられるようになりつつあることが恐ろしい。海水温は、この
時期から上昇する。魚介類の活性が高まることに期待したい。
【調理・撮影:2023/5/3】
麦秋とは、麦が黄金色に色づく初夏の頃をお米の収穫時期の黄
金色になぞらえ「秋」と表現したとのこと。実際、その風景を目
の当たりにすると、どなた様が命名したのか「その通りですね」
と言わざるを得ないし、これから盛夏を迎えようとするこの時期
に、その風景が少し愁いを感じさせるから「秋」と深読みするの
は、自分だけか。とにかく本日の一期一会に感謝しよう。
【調理・撮影:2023/5/28】
梅雨真っ只中にあるから、お題を従前「晴待の季」としていた
が、清々しい晴により空振(降)りの体となって急遽お題を変更
した。文章も出来上がりソースに追記しUPする寸前の予定変更
に苛立ちを覚えるが、鬱陶しい雨が誤って晴れとなったことを腹
立たしく思うことはナンセンス。この10貫が晴れを運んでくれ
たとするしかない。お題、ホントは「露払い」が正解なのか。
【調理・撮影:2023/6/20】
雨の日の操業は、生産(漁業)者ではない当方にでも「苦」で
あると容易に想像できる。まして「魚価<コスト+苦労」である
と操業しないのが「筋」。結果として各種統計にも顕著に現れて
いる。ただし、需要との因果関係は、無縁としか言えない。
名残り惜しいが7月から近海底曳網漁が禁漁期間に入り、毎年
恒例の頭が痛い「夏枯れ」の時期を迎えることになる。
【調理・撮影:2023/6/27】
雨が少しだけ涼しさを運んでくれる。しかし、その切れ目に降
り注ぐ日差しが強烈である。梅雨であるが夏至を通過したことを
思い出し冷静にこの暑さを噛みしめる。「梅雨寒」が恋しいとこ
ろである。近海底曳網漁が禁漁期間に入って、店頭が少し寂しく
なってきた。それでも「旬の素材」は、豊富であり不足はない。
「仲夏」の中、お鮨の「冷やし中華」になぞらえ命名した。
【調理・撮影:2023/7/4】
三伏とは、簡潔に言えば夏の最も暑い時期。多くの方々が大変
喜ばしいことの真逆と思われるに相違ない。皮肉にもその名に相
応しい状況が続いている。電気代が値上がりした折、踏んだり蹴
ったりだと思うのは、自分だけではないはず。どうぞご自愛くだ
さい。生産(漁業)者も同様、底曳網漁の禁漁期間も相まって、
石川県産の漁獲量・種、何れも低調。頑張ろう!自分。
【調理・撮影:2023/7/17】
この暑さ、暦の上では「立秋」を過ぎたから「残暑」となるの
であろうが、上には上の「残酷暑」と表現しよう。たまらん。
底曳網漁の禁漁期間、この暑さ、夏休み、先行するお盆休みが
重なり県内の漁獲量・種とも低調。所謂「夏枯れ」である。市場
は、県外産・外国産がその穴を埋める構図。長年市場を見続けて
いるが毎年同様の繰返し。近海の魚介類が全滅したはずもない。
【調理・撮影:2023/8/13】
暑さが続いているものの、うだるような暑さは少し和らいで、
次の季節への気配が漂ってきたような気がするが、気のせいなん
だろう。お題の「杪夏(びょうか)」とは夏の終わりの意。
さて、来週は9月。待ちわびていた「底曳網漁解禁」毎年恒例
の「(石川県産の)夏枯れ」が解消されると安堵するが、石川県
産が県内に流通していないことが不思議。震災直後と同様。
【調理・撮影:2023/8/27】
9月に入り底曳網漁解禁となって期待を込め調達・買物に出動
するが、店頭の魚種・量は、解禁前と大差ない状況である。もち
ろん底曳網漁の対象も混じるものの、昔の様な勢いは感じられな
い。時化の影響を考慮しても「獲れない」「獲らない」の両者が
顕著に浮き彫りになっている。その上、バイヤーのフィルターが
強く効力を発揮し、それらに拍車をかけている。しかも高い。
【調理・撮影:2023/9/10】
もうじきお彼岸だが、この暑さは尋常ではない。その上、少雨
で貯水率が平常時と比較して20%程度とのこと。「泣きっ面に
蜂」などの生易しい表現は不謹慎なのかもしれない。自分のでき
ることは、「清涼の宴」で少しでも涼しさを演出することのみ。
それらの解消には程遠いが、「暑さ寒さも彼岸まで」の諺を信じ
て、涼しさと恵みの雨をこの一膳を通して祈念したい。
【調理・撮影:2023/9/18】
気温が4~5℃下がっただけで、涼しさを通り越し寒く感じ、
思わずフリースなどを着込むが、平年並みに戻っただけだから、
「厚木市の来生たかおさん」なんだろう。ご自愛とした。
今回の品揃えは、これといった設計がないうちに、たまたま白
身5貫となった。しかし、これが怪我の功名ならぬ、白身の違い
と好さを改めて感じさせられる効果があった。厚着のおかげか。
【調理・撮影:2023/10/9】
マラソン大会の喧騒をBGMとしての手前握り。「もうそんな
時季が来たのか」としみじみ思う次第。雨も上がって、少し気温
が高いのかもしれないが、マラソン日和となって何より。
年々市場や店頭のネタの選択肢と量が減り、季節感が希薄にな
って心苦しい上に、何より「石川県産採用」の機会がとても少な
くならざるを得ないことが残念でならない。何処に。
【調理・撮影:2023/10/29】
季節外れの暖かさにネタの選択もしっくりこないが、想定して
いない素材がこの時季手に入り、思いがけず奏功した結果となっ
てうれしい限り。いいものはいつでもいいとの結論としよう。
「カニ解禁」直前の調達・調理にてお預けであるが、今年から
漁獲枠が増え「アレ」を期待したい。「アレ」とは、毎年々々美
味しさが変わることはないから「値が下がる」しかない。
【調理・撮影:2023/11/5】
二十四節季の「小雪」を通過し、寒さ厳しくいよいよストーブ
なるものに火を入れた。それでも日中厳しさが和らぎ消火せざる
を得ない。ふと外の景色を気にしてみたが、来週はもう師走12
月だというのに、紅葉の気配が極めて希薄「錦秋」には程遠い。
普段使いのスーパーに季節感を求めるのは酷ではあるが、もう
少し品揃えを工夫して欲しいと願うばかり。「錦秋」は何処に。
【調理・撮影:2023/11/26】
「安閑とはしていられない月」ではあるものの気忙しくあれも
これも手を付けたところで何かが捗るわけではない。結局どれも
中途半端で何一つコンプリートすることなく、ただただ時間だけ
が経過し気が滅入るだけ。ここは、「忙月安閑」一貫一貫を噛み
しめ、のんびり心静かに各々の個性を堪能していただきたい。
「心身の安らかなさま」へのご案内を願って止まない。
【調理・撮影:2023/12/17】
ズワイガニ(メス)のシーズンも残すところあと数日で禁漁期
間となる。県内今年の漁獲高を現時点で把握していないが、平年
と比較して少ないような気がする。もし、そうであれば、主たる
要因は「時化」となるのであろう。資源管理が徹底され「資源の
減少・枯渇」は、考えにくい。漁業者の高齢化に伴う「減」も加
担するのであろう。今回、県外(鳥取)産がその穴を埋めた。
【調理・撮影:2023/12/26】